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  • 伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 代表取締役社長
  • 塔下 辰彦
  • TATSUHIKO TOUSHITA
  • Profile
  • 1980年伊藤忠商事株式会社 入社
  • 1995年(ドイツ・デュッセルドルフ駐在)
  • 2001年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 転籍
  • 2010年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 執行役員
  • 2013年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 取締役 兼 常務執行役員
  • 2016年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 取締役 兼 専務執行役員
  • 2017年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 代表取締役副社長
  • 2020年伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 代表取締役社長

お客様と誠実に向き合い、課題を見出し、目標を設定する。
新しいビジネスのタネと、成長機会は、常にビジネスの現場にあり。

入社からMISI誕生まで

新入社員時代の経験

入社時の配属先は伊藤忠商事の厚板部厚板第二課で、さまざまな用途に応じた一般向けの厚板(※1)を国内の特約店や加工センターに販売する業務でした。当時は自分たちで在庫を持ち取引する伝統的な商売をしていましたし、販売代金として手形をお客様のところへ直接頂戴しに行くなどの仕事もありましたので、現物を見ながらモノとお金の流れを、身をもって学べた点は非常に良かったですね。どのように商売が成り立ち、その中で自分はどのような役割を担えるのか。お客様はどのようなサービスに対価を支払ってくれるのか。商社の取引を行う上で必要な物の見方や考え方は、そこで身に付いたと思います。鉄は社会インフラをつくる重要な基礎産業資材であり、当時も鉄鋼輸出は日本が外貨を稼ぐ産業としても大きなウエイトを占めていました。業界関係者や競合他社の方とも交流があり、「鉄鋼業界を盛り上げていこう」という意識を共有している時代でした。
厚板部には9年間所属し、その後3年間の金属企画統括部での勤務を経て鉄鋼貿易本部へ異動して海外との取引に携わります。海外との取引や駐在に興味があり商社を志望する方は多いですが、いま振り返ると私自身はそこまで海外での仕事に固執してはいませんでした。「着実に経験を積んでいれば、そのうち海外に行く機会もあるだろう」くらいに考えていました。多くの先輩たちの姿を見て、地に足をつけて働く大切さに気づけたのも新入社員時代に得た学びの一つですね。
(※1)厚板:厚さが6mm以上の鉄板。船舶、プラント、建設・産業機械、インフラ設備等の主要構造部材として広く使用される鋼材。

海外駐在時代の経験

海外へ駐在したのは入社から15年後、場所は生まれて初めて足を踏み入れたドイツのデュッセルドルフでした。当時ドイツのブレーメンとギリシャ第二の都市であるテッサロニキにメッキ、冷圧の事業会社があり、それら工場へ原板の供給や製品販売を中心に業務を行っていました。スタッフは日本人駐在員、現地採用の日本人とドイツ人のほか、ギリシャ人、イギリス人、フランス人、イタリア人。初めての海外駐在でいきなりヨーロッパ中心の多国籍グループを率いることになったのです。これは刺激的な体験でした。チームをどう調和させ、どうマネジメントすべきか、いつも思案していました。はっきり言って、日々の営業の中で、欧州の顧客に対し現地社員以上に私にできることは殆どありません。ドイツ語もおぼつかないし、歴史も勉強しましたが、人的関係含め顧客・市場・商慣習について詳しく知っているわけではないので、現地社員のリーダーとして自分がドイツにいる意味は何なのかと考え続けました。その結果私は、欧州企業に伍して日系企業が、存続・成長するためには、日本企業の強み・良さである「誠実さ」を貫くことだと結論を出し、管下の社員にはその思いを伝え、志向するビジネススタイルへの理解を求めました。
 
私たちは自身で「鉄」をつくっているわけでも、ユーザー向けに工業製品をつくっているわけでもありません。「鉄」を必要としている方へ、必要な時に必要な量を届け、社会インフラや自動車・家電など価値あるモノにつくり変えてもらうお手伝いをしているのです。モノを動かし、機能・サービスという新たな価値を付加してゆく。顧客にとっての価値を生んでゆくことこそ商社の仕事の醍醐味です。現実では、さまざまな思惑、利害が絡み、世界中の商取引のし烈な競争の中で海千山千のプロ同士のやり取りが行われています。しかし、どのような状況でも「信頼・誠実」をベースに取引をすることが我々には大切だとスタッフに伝えました。周りには法に触れなければよしとするようなビジネススタイルの企業もあり、そのような環境に辟易しているお客様もいました。その中で、当たり前ではありますが契約をきちんと履行し、扱う「鉄」に価値を付け、社会と事業の成長に役立ててもらう。そして、このサイクルを回しながら当社のファンを増やしていき、会社のブランドを確立する。マネージャーの本分は、こうした想いをスタッフと共有し、成果を実現することです。海外駐在時代に貫いた「顧客の為に」との想いは、その後帰国してからも、社長に就任した現在でも貫き続けています。

二つの総合商社の鉄鋼部門、MISIの誕生

2001年3月にドイツから帰国し、その年の10月に伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼部門が分社分割統合して伊藤忠丸紅鉄鋼が誕生します。会社の統合に合わせ、私も当社に転籍しました。当時、どこの商社も環境変化の中で鉄鋼部門は業績が伸び悩んでおり、この両社も例外ではありませんでした。何か抜本的な改革が必要だという危機意識は、鉄鋼部門の社員全員が持っていましたが、二つの商社の事業部門が統合するなど初めての出来事ですので、そう簡単なことではありません。それでも競合する両社の思い切った経営判断のもと、みんなが危機意識を共有していたからこそ、統合が成功し、危機を乗り越えられたのだと思います。
しばらくして中国に高度経済成長期が訪れ、鉄の需要が急激に伸びたことで当社も飛躍します。その恩恵に与れたのも、両社の経営陣が競合という立場を乗り越えて手を取り合ったから。統合時の危機感、そしてそこから生まれた一体感は、いまも当社の強みになっています。

これからのMISIを担う皆さんへ

今後のMISIの方向性

私たちは日本の鉄鋼業界の成長に伴走してきましたが、今後も日本企業のサポーターであり続けたいと思っています。ただ、量を求める時代は終わりました。これからは、鉄にどう付加価値をつけていくかが求められます。鉄鋼製品を通じて新しい事業領域を広げていく必要があると考えていますし、新しい機能やサービスを創出することでお客様の役に立っていきたいですね。実践的な取り組みとして、経営企画部内に「Miraiチーム」を立ち上げ、社員が新しいアイデアを持ち寄り形にすることを支援する組織をつくりました。社員には新しいビジネスを創出するプロセスを学びながら、将来的に当社のコアビジネスを生んでほしいと期待しています。当社はビジネスモデルとしてトレードをメインに行う中で、お客様のご要望やお困りごとを解決するソリューションプロバイダーとして存在してきましたが、今後はニーズを伺うだけではなく、自ら提案していく力が必要です。
 
当社が誕生した頃、世界では年間約8億t.の鉄が生産され、日本はそのうち1億t.をつくっていました。現在、世界では約19億t.生産されるようになりましたが、日本での生産はほぼ1億t.のままです。日本の鉄が占める割合は減っていますが、この数値は今も世界中で鉄が求め続けられている証。世界に転がっているビジネスチャンスをどう掴んでいくか、その方法をこれから入社する方にも考えてほしいですね。

MISIの人材育成

MISIは風通しが良く、意見を言いやすいフラットな職場です。ここからさらに、誰もが臆さず新たな商機に挑戦できる環境に引き上げたいと考えています。チャレンジへの意欲を生むには、私や役員が「失敗しても良いから挑戦しよう」と言うだけではなく、組織全体に進取の気性と、失敗を許容する風土がなければなりません。一人ひとりが自分で課題を考え、目標の達成に向けて積極的にトライする。そうしたProactiveな行動を奨励するチャレンジしやすい風土を醸成していきたいですね。そういった風土で経験を数多く積んでいくことが社員一人ひとりの成長に繋がってゆくと思っています。
同時に、困ったことがあれば気軽に相談できる人間関係も重要です。ジョブローテーションにはさまざまな業務を経験して知見を深めるとともに、社内にいろいろなコミュニケーションチャネルを持てる、というメリットもあります。複数の部署を経験すれば気の合う上司や先輩と出会えるでしょう。社内イベントなどインフォーマルな交流を図る機会も設け、居心地の良い職場づくりを推進していきます。

求める人材像について

当社は2021年10月に設立20周年を迎えます。これまで近江商人の企業理念である「三方よし」に「社員によし」を加えた企業理念を掲げてきましたが、改めて「社員にとって良いこと」とは何かを問いかけています。報酬なのか、働き方なのか、仕事のやりがいなのか、人によってそれぞれに異なるでしょう。
そこで、次の10年、20年に向けて、自分たちが、当社がどうあるべき、ありたいかを見つめ直して欲しいと思い、社員みんなで企業理念を再定義する活動を始めました。これから入社される方も、どういう仕事をして、どんな人間になりたいか、ぜひ自問してください。報酬だけではハードワークはできませんし、お客様の喜びがなければやりがいは生まれません。自分で目標を定めてスキルを高め、そのスキルを使いお客様の役に立つことで仕事のやりがいを掴んでください。そして、企業理念を含めた「新しいMISIのカタチ」を一緒に考えていきましょう。
鉄鋼業界を取り巻く環境は刻々と変わっていますが、新しいビジネスのタネは日々の商いの現場にあります。そのタネを見つけ、ゆくゆくは当社を牽引する存在に成長してほしいと願っています。